会長挨拶
会長挨拶
会長:二階 哲朗
(島根大学医学部 麻酔科学講座)
原点回帰 ~未来に紡ぐ麻酔医療~
日本麻酔科学会中国・四国支部第63回学術集会の開催にあたり、ご挨拶申し上げます。
日々、臨床、教育、研究を通じて麻酔科医療のさらなる発展にご尽力されている会員の皆さまに、心より敬意と感謝を申し上げます。
本年の学術集会テーマは、「原点回帰 ~未来に紡ぐ麻酔医療~」といたしました。これまで麻酔科医は、
麻酔および全身管理のスペシャリストとして、手術室における内科医的な役割や医療安全の担い手としての責務を果たし、
手術を受ける方の予後改善に大きく寄与してきました。そしてこの20年間、高難度手術、高齢者を対象とした手術の適応も広がる中で、
手術麻酔の需要は飛躍的に高まっています。この需要の増加は、私たち麻酔科医にどのような変化をもたらしたのでしょうか。
私自身はいま麻酔科医としての在り方が問われる大きな岐路に立っていると感じています。
この先のさらに20年、医療現場で求められる麻酔科医の姿を考えるうえで、いまこそ原点に立ち返ることが重要だと考えます。
それは、麻酔科医としてのアイデンティティを再認識し、これからの新しい時代にふさわしい医療を築くための重要な礎となります。
私の考える麻酔科医の原点は、解剖学、生理学、薬理学などの幅広い基礎医学の知識や技術を土台に、
患者中心とする医療現場でプロフェッショナリズムを持った全身管理を行うことにあり、また、チーム医療の中心的存在としての役割や、
教育的な姿勢をもって臨床に取り組むことができるのも麻酔科医の強みと考えています。
本学会では、麻酔科医療の基盤を改めて見直すとともに、周術期医療、集中治療、ペインクリニック、
緩和医療といった幅広い分野における麻酔科医の役割について議論を深め、未来の麻酔科医療のあり方を模索したいと考えています。
最後になりますが、本学会が会員の皆さまにとって有意義な学びと交流の場となり、
日々の臨床や研究活動に新たな視点や刺激をもたらすことを心より願っております。
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